今日は、去年から続いているキングオブベストアルバムのレビューを書きたいと思います。
こちらも2003年を代表する大傑作・・・と思ってたのですが、
実は、私の中でてっきり2003年リリースだと思い込んでた作品が、
よく見てみれば2002年の作品だったという勘違いを、作ってる途中に気がついてしまいました。
2001年のTOMATO CUBEの件に続いて、またもミスするとは・・・


ということで、1年戻ってしまいますが、2002年のキングオブベストアルバムその3ということで、
それではいってみましょう。







IGNITION (CCCD)

IGNITION (CCCD)

1.暴走ロック 2.頬白鮫の悲劇 3.圏外なわたし 4.そこに、あなたが… 5.サイレン
6.Spice 7.悪魔の化身 8.日曜日 9.逆風 10.夏でも寒い 11.野獣になりたい 
12.刺身と山葵 13.世直しGOOD VIBRATION
お気に入り度:99点





SEX MACHINGUNSの4thアルバム。彼らの最高傑作といっていい作品だと思います。
まずは、どこか懐かしい感じのする洋楽ハードロックのような曲「暴走ロック」から始まり、
そして疾走感あふれるメタルサウンドが素晴らしい「頬白鮫の悲劇」、
アルバム唯一のバラード曲、かと思ったら後半一気に加速、その後半からの曲の展開美が見事な「そこに、あなたが…」
といったように、前半にも良い曲がいくつも入っていますが、
このアルバムがさらにすごいと思ったのは、後半の曲の数々のすごさ。


まずは、テレビでサザエさんを見ながら、翌日学校や仕事に行きたくないという思いを叫ぶ「日曜日」。
これは最初聴いた時は笑ってしまいました。しかし同時にちょっぴり切なさも感じるというか・・・
思いっきりノレて、そして笑えて、それでいてどこか切ない、こんな曲は彼らにしか作れないでしょう。
そして「俺の人生夢芝居」といった、まるで演歌のような哀愁が漂う歌詞とAメロから始まり、
Bメロ、サビと音の雰囲気が変わり、そして曲のラストのサビでこの曲一番の疾走感を感じさせてくれるという、
これまた曲の展開美が見事な「逆風」、これは本当に素晴らしい!
しかもこの曲は、逆風に立ち向かえといった歌詞にもとても勇気付けられるし、
隠れた大傑作といっていいでしょう。
さらには、エロい歌詞なんだけど言葉のセンスが絶妙、笑えつつもカッコいい「野獣になりたい」、
アコースティクギターの音が印象的で、そして歌詞も面白いんだけど、
これまた同時に切なさやわびさびみたいなのを曲全体から感じる「刺身と山葵」、
最後には、ユーモアを交えつつも社会風刺をした歌詞が見事な「世直しGOOD VIBRATION」、
この後半の8〜13曲目は、すさまじい出来といっていいでしょう。


前半と後半があまりにすご過ぎた分、中盤の5〜7曲目が少し弱いかなと思った以外は、
日本のヘヴィメタルを代表するバンドの作品として完璧なアルバムといっていいでしょう。
ヘヴィなサウンドもさることながら、やっぱり歌詞が良いです。
この作詞センス、そして歌詞のテーマの振り幅のすごさ、多様性が好きです。
そもそも私的には、恋愛のことばかり歌う歌手の方がどうかと思うぐらいです。
人間そんなに24時間365日恋愛のことばかり考えてるかといったら違うわけですし。
だから、サザエさんのことを歌う歌手や、みどりのおばちゃんのことを歌う歌手がいてもいいじゃないかと!
彼らは人間の様々な一面、喜怒哀楽全てを、ユーモアや笑いを交えつつも
時には熱く、時には切なく、そして時にはカッコ良く歌っていると思います。
これは見る人によっては一見イロモノ扱いされるかもしれませんが、
アルバムを通して聴けば、決してただのコミックバンドではないんだということは分かると思いますね。