今日は、昨日に引き続いて、知る人ぞ知るアーティストのレビューをしたいと思います。
果たして、このアーティストのことはみなさん知っているでしょうか?
(なお今回は、かなり辛口な内容のレビューとなっていますのでご了承ください。)








Love Love Dreamer

Love Love Dreamer

1. ZUTTO 2. love love dreamer 3. 初恋〜はるかなる想い 4. 愛してる 夢見てる 
5. スーパースター☆ハムスター 6. Hello,I love you 7. ダイエット天国 8. YURIMARIでぬりつぶせ
9. TOYBOX 10. anyone 11. ショーウィンドゥ 12. チャンス 13. 未来はコンピューターネットワークの中に 
14. これでいいのでしょうか

お気に入り度:68点





1990年代に、モーニング娘。CHEMISTRY鈴木亜美などといったスターを世に送り出した、
オーディション番組「ASAYAN」から生まれた女性2人組ユニット、YURIMARIの最初で最後のアルバム。
解散後、YURIさんは、現在は中村ゆりという名前で女優として活躍中、
MARIさんはタレントとなり、関西ローカル番組「明石家電視台」のクイズコーナーにて、
珍解答を連発するおバカキャラなどとして活躍していました。


このユニットのデビュー時は、爆風スランプサンプラザ中野さんとパッパラー河合さんプロデュースにより、
「バカPUFFY」というコンセプトで売り出され、歌番組だけでなくバラエティ番組にまで出演したりと
かなりブッシュされていたので、これはもっと売れてもいいはずなのになと思ってました。
しかし1stアルバムでブレイクすることはなく、その後はシングルをもう1枚を出したのち解散。
その最後となったシングルでは、うってかわって作曲に長尾大さんが起用されたりしたのですが、
こちらも残念ながら売れず。つくづく、なんで全く鳴かず飛ばずで終わったのか不思議だなと思ってました。
しかし、その理由は、このアルバムの1曲目を聴いた時点で原因の1つが分かったような気がしました。
それは、単刀直入に一言で言ってしまうと、「歌が下手」。


でも、別に歌がちょっとぐらい下手であっても、もともとバカ騒ぎ的な曲を歌うコンセプトで作られたユニットなんだから
多少音程は外れてようが、勢い、若さ、パワーで押しまくれば、別になんてことなかった。
本当に問題なのは音程が外れてることではなく、声量が足りていないこと。
度々声がかすれてるし、てかそもそも腹から声が出てない。
まず腹筋を毎日やることから始めなさい!と言いたくなってしまうような歌声。
さらに、ASAYANの番組内にても、この2人は問題児であるということまで取り上げられてたというから・・・
でもせめて、別におバカキャラ・問題児キャラだったとしても歌に関してだけはもっと真剣に取り組んでたら、
もう少し良い歌唱ができたんじゃないかと思いました。惜しいです。


しかしこのアルバムの曲自体は、元々爆風スランプのファンである私からすれば、
やはりこの2人が作った曲なだけあって、良い曲が多いです。
シングル曲では、好きな人をデートに誘いたいという思いを、ファンタジー感満載の歌詞にのせて歌う、
デビュー曲の「スーパースター☆ハムスター」や、テレビの中の芸能人に恋をする「love love dreamer」
などといったように、どこかバカっぽくも面白い発想の曲が多いですし、そんな中でも極めつけなのは
2ndシングルにもなった、「未来はコンピューターネットワークの中に」。
こういうタイトルでありながら、歌詞の中身は「つながるつながる」「すいすいすいすい」といっと
同じ言葉の繰り返しばっかりの、いわばスッカラカンな内容で、
そして結局は、Hなホームページを見るだけで終わるという歌詞。
しかも「ハメて」とか「イク」とかいうフレーズが度々出てきてこれ絶対ド下ネタだろとツッコミたくなる!
このブッ飛び感はさすが、サンプラザ中野さんの描く世界だなと。
これら全部、ボーカルにもっとパワーがあればもっと良い曲になってたはずなのにと・・・
結局はそこに行き着いてしまうんですよね!


なにしろ、このアルバムは、バカPUFFYとかいいながらもおバカでお気楽な曲ばかりではなく、
本家爆風スランプ同様に、多種多彩な曲が盛り込まれているのです。
なのでバラード曲もあれば、4曲目のようなシリアスで張り詰めた空気が漂う曲、
はたまた8曲目のようなハードなパンクロック曲もあったりと、そんなんだから、
曲ごとに違った様々な歌唱技術が求められてしまう、それだけになおさら歌唱力のなさが目立ってしまうという・・・
唯一、バラード曲では、あの爆風スランプの名バラード「大きな玉ねぎの下で」のアンサーソングとして作られた
(一応この時代から「アンサーソング」っていうものはあったんですね)
「初恋〜はるかなる想い」は、ボーカルの2人の歌唱が、歌唱力が足りないながらも足りないなりに
丁寧に一生懸命歌ってる感じが、曲の切なさを引き立てていて、結果的にうまくハマったと思います。これは名曲。


でも、やはりこのアルバムの曲の中で、一番強烈に印象に残った曲は、
9曲目に収録されている、MARIさんのソロ曲「TOYBOX」。
この曲の、MARIさんによる、すさまじいまでの破壊力満点の歌唱!
これはまさに、トーマス・オマリー「六甲おろし」や、藤波辰爾「マッチョ・ドラゴン」などといった、
歴代の奇跡の歌唱力の人達に並ぶかのような歌声。CDリリースになったことが奇跡の歌唱力。
ちなみにこの曲の次にはYURIさんのソロ曲が収録されているのですが、こちらも客観的に聴けばやっぱり歌唱力不足、
でもMARIさんの曲の直後に聴けば、これすらもまだ上手に聴こえてしまうという・・・
しかしそれでも、MARIさんは必死に歌っています。その歌声からはどこか悲壮感さえ感じられる・・・




なんだかんだ言っても実は、嫌いにはなれない作品だったりします。