JAPANESKA

JAPANESKA

1. 100万つぶの涙 2. 過食症の君と拒食症の僕 3. 逆立ちすれば答えがわかる 4. 川の流れは 5. 中央線
6. 夜道 7. ウキウキルーキー 8. おうちバイバイ 9. ルティカ
 10. からたち野道
お気に入り度:95点







1990年にリリースされた、THE BOOMの3rdアルバム。
THE BOOMといえば世間的には「島唄」のイメージが強いでしょうが、
実はこのバンドは、デビュー当時の初期の頃はスカバンドでした。
そしてこのアルバム作品は、まさにアルバムタイトル通りとでもいうべきな、
日本の音楽と、ジャマイカ生まれの音楽であるスカとの融合が見事なまでになされた作品です。
特に、中盤〜後半の曲では、スカをベースにしながらもどこか和の雰囲気を感じさせる曲が多く、
7曲目では大正琴、10曲目では三味線や和太鼓などといった楽器も使われていて、
それがまた楽曲の中で良い味を出していると思いました。


そしてこの作品は、しっとりした和の要素を含めつつも同時にカラフルさも感じることができる、
そんな作品です。まず1曲目の「100万つぶの涙」では沖縄色の強い曲となっていて、
その後の「島唄」という歴史的名曲が誕生する予感を感じさせてくれる曲となっています。
そして2、3曲目は、アップテンポでノリノリなスカナンバーで、
歌詞も含めて、それこそ世間一般のこのバンドのイメージからは想像もつかないぐらいにコミカルな曲。
その後はゆったりとしたテンポの曲が続きますが、切ない雰囲気の曲もあれば、
6、7曲目のように、ちょっと変わった日常を面白く描いた曲もあり、そういった曲がまた印象的です。
何より、このアルバムは総じて歌詞のレベルがとても高いです。
面白い歌詞から切ない歌詞まで、幅広いですしそれでいてどのタイプの歌詞も質が高い。


しかしやはりこのアルバムで最も素晴らしい曲は、ラスト曲の「からたち野道」でしょう。
これぞジャパネスカと呼ぶにふさわしい、穏やかなスカのリズム、
そして和の雰囲気を感じさせつつも、同時にたまらないぐらいの切なさを感じる歌詞とメロディとボーカル。
「これ以上つらい日が来ませんようにと 飛び石踏んだ」
この歌い出しの部分から、もう何度聴いても胸にくるものがあります。
そして最後の「あなたのもとへ 駆けていきたい」という言葉には、
これぞ、深い意味での「愛」を感じることができる。私にとってこの曲は最強クラスの泣き歌。
この1曲のためだけでもこのアルバムを聴く価値があると言えるぐらいの超名曲だと思います。